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第4章 | 森の響き [欅・栗]

2015.08.23 Sunday

 

モクターブ 広葉樹図鑑P24 [右]
欅   ケヤキ(ニレ科)
Zelkova serrata

箒を逆さにしたような樹形で、枝ぶりが美しく街路樹になっているため、
日本人になじみの深い樹です。
時に30m以上の巨木に成長し、日本各地で銘木となっているケヤキは
「けやけき木」という言葉が語源という説がありますが、「槻(ツキ)」と呼ばれることもあります。

材は硬くて強く、弾力性もあります。木目が明瞭で深みのある色合いのため
古くから優秀な材として家の内装、構造材、建具、工芸品など幅広く使われ、寺社仏閣の柱などにも見られます。

 

[左]
栗   クリ(ブナ科)
Castanea crenata

通常、食用として売られている栗は栽培されたもので、
材として用いるのはこのように山に生えているヤマグリ(シバグリ)です。
小さいながらも実をつけ、甘みのある味は食用栗より上かもしれません。

縄文時代の日本人にとってこれは主食でした。
材はタンニンを多く含み、水に極めて強く腐りにくいため家の土台に使われ、
かつては枕木にも多く使われました。
やや黄色味を帯びた淡褐色で、年輪がくっきりしているため素朴な雰囲気があります。

家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

日本橋三越本店 期間限定展示販売

2015.08.22 Saturday

日本橋三越出店

8月26(水)~9月8日(火)の期間
”サードプレイス 秋夜の楽しみ方” にて展示販売を行います。

2週間の期間限定ショップとなりますが、
代官山ショールームとはまた違う世界感で
ライフスタイルをご提案させていただいています。

MOCTAVEの他にも、とっておきの洋服には使いたい中田ハンガーさんや
”生涯を添い遂げるグラス”がコンセプトのワイヤードビーンズさんが出店されます。

暮らし豊かにしてくれるアイテムがきっと見つかると思います。
お近くへお越しの際は是非お立ちよりくださいませ。

 

”サードプレイス秋夜の楽しみ方”
2015.8.26(WED) -  2015.9.6(TUE)
日本橋三越本店 本館5階 リビングステージ
8月 10:30 –  19:30
9月 10:00 –  19:00

家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

第4章 | 森の響き [黄檗・桂]

2015.08.22 Saturday

 

モクターブ 広葉樹図鑑P23[右]
黄檗   キハダ(ミカン科)
Phellodendron amurense

コルク質の厚い鬼皮を剥ぐと、名前の通り鮮やかな黄色の厚い内皮が出てきます。
この内皮にはベルベリンという非常に苦い成分が含まれ、
漢方胃腸薬に使われるため、栽培しているところもあります。

ミカン科というと大木をイメージできませんが、キハダは大きいもので
25mぐらい、直径も60cm以上になります。
材は肌目が粗く黄味がかった褐色をしており経年変化で褐色が強くなってきます。
非常に軽く軟らかいのに水湿に強い材です。

 

[左]
桂   カツラ(カツラ科)
Cercidiphyllum  japonicum

根元から株立ちすることが多く、30m以上もの大きな木になることがあるため森の中でもよく目立ちます。
その幹に比べ、丸いハート型のかわいらしい葉をつけます。
この葉が落葉を迎えるときは甘い独特の香りがするので、
東北地方では「お香の木」と呼ばれることもあるそうです。

ちなみにシナモンは漢字で「桂皮」と書きますが、この木の皮ではなくクスノキの仲間です。
材の色が濃い目に出るものを「ヒガツラ」と呼び、良材とされています。

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第4章 | 森の響き [樫・鬼胡桃]

2015.08.21 Friday

 

モクターブ 広葉樹図鑑

P22[右]
樫   カシ・シラカシ(ブナ科)
Quercus myrsinaefolia

カシの木などブナ科に属すほとんどの樹種がドングリを実らせますが、
「ドングリ」という名の樹はありません。
もう一つよく誤解されるのは、「カシ」は英語では「オーク」と訳されることが多いのですが、
実際はミズナラがそれに当ります。

材は淡い紅褐色をしており、「木」偏に「堅い」という字のごとく、非常に硬く重厚な材質です。
広葉樹の中では最も比重が重いため火もちが良く、薪としても非常に人気があります。

 

[左]
鬼胡桃   オニグルミ(クルミ科)
Juglans mandshurica

川や谷沿いなど湿った所に生育しています。実の殻は非常に硬く、
スタッドレスタイヤに利用されることもあります。
また市販される食用クルミに比べて形が尖っていて割りにくいのですが味はよく、
油も家具などの手入れ用の優れたオイルになります。

その材は狂いや割れが少なく軽軟なため家具などに使われるほか、
銃の衝撃を吸収する台座の材として最適とされています。
同じ仲間である外材のブラックウォールナットに比べると扱いやすい材です。

家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

第4章 | 森の響き [瓜膚楓・鵜松明樺]

2015.08.20 Thursday

 

モクターブ 広葉樹図鑑

P21[右]
瓜膚楓   ウリハダカエデ(カエデ科)
Acer rufinerve

名の通り、若い時期の枝・幹の樹皮は緑がかっていて瓜の肌そっくりに見えます。
しかし成長して大径木になるにつれ緑色は消え、
灰色がかってきて瓜のような縦じまも薄くなってきます。

葉は2カ所の切れ込みがあり、この樹であることを判別する有力な手段となります。
材は色が白っぽく割れにくいため、こけしの材料として使われています。
また他のカエデ材と同様、板にすると滑りにくいためフローリングにも適しています。

[左]
鵜松明樺  ウダイカンバ(カバノキ科)
Betula maximowicziana

樹皮は燃やすととても火力が強く、焚き火などの種火になるため
「鵜飼いの際の松明(たいまつ)」として使われたことが「ウダイ」の名の由来です。

岐阜県あたりが南限とされ、材は「マカンバ」あるいは単に「カバ」と呼ばれます。
硬くて強く、加工性に優れ、かつ反りや狂いも少ないため高級材として扱われますが、
しばしば木材業界では「カバザクラ」の名前で取引されることがあるため、サクラの仲間と間違える人もいます。

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第4章 | 森の響き [板屋楓・棈]

2015.08.19 Wednesday

 

モクターブ 広葉樹図鑑P20[右]
板屋楓  イタヤカエデ(カエデ科)
Acer mono Maximowicz

岐阜県では「イタギ」と呼んでいます。
カエデの中では葉が大きく切れ込みの数が少ないのが特徴ですが、
変異種も多く微妙に形が違うものがあります。

北米にはシュガーメープルという、メープルシロップを採取するカエデがあります。
イタヤカエデも樹液には糖分があり、煮詰めればメープルシロップの代用品になります。
材は白っぽく緻密で光沢があって美しいため幅広く使われ、
特に家具やフローリングのほか、弦楽器などにも使われます。

 

[左]
棈  アベマキ(ブナ科)
Quercus variabilis

名前はあまり知られていませんが、西日本の里山では多く見られるドングリの成る木です。
クワガタ虫が好きなクヌギとよく似ていますが、
アベマキとの区別はドングリの殻の部分の違いなどで判別できます。

深く裂け目のある樹皮はコルク質が厚く、押すと弾力があり、その様相が「あばた」のようなので
「あばたまき」が訛ったものがアベマキの語源だとも言われています。材は重くて硬いため家具などにも使用できますが、あまり出回っていません。

家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

ブランドストーリー目次

2015.08.18 Tuesday

広葉樹に魅せられたMOCTAVEブランドオーナーと
そのコンセプトと信念に共鳴し、集まったデザイナー、職人、プロデューサーの
それぞれの想いと、これまでの軌跡を綴りました。

プロローグ 人生を共にできる家具

第1章|  樹への想いⅠ

第1章|  樹への想いⅡ

第1章|  樹への想いⅢ

第1章|  樹への想いⅣ

                  

第2章|  意匠の道のりⅠ

第2章|  意匠の道のりⅡ

第2章|  意匠の道のりⅢ

第2章|  意匠の道のりⅣ

                  

第3章|  匠の手Ⅰ

第3章|  匠の手Ⅱ

第3章|  匠の手Ⅲ

第3章|  匠の手Ⅳ

第3章|  匠の手Ⅴ

第3章|  匠の手Ⅵ

                  

エピローグ|  すべての価値は暮らしの中でⅠ

エピローグ|  すべての価値は暮らしの中でⅡ

 

家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

エピローグ|すべての価値は暮らしの中でⅡ

2015.08.18 Tuesday

 

エピローグ すべての価値は暮らしの中で
プロデューサー 大澤 勝彦

― 日本の樹木に目を向けて ―

そして、MOCTAVEには2つの思いを込めています。
1つ目は日本の木を使い生かしたいという思いです。

高度成長期に、私たちは国内の森林から収奪的に木を伐り出して使い、次にはスピードをコストを優先させ、多くの場合自分たちの山林からではなく、外国から木材を輸入してその需要に応えてきました。

この結果山林に人の手が入らず荒れてしまい、樹木の生態系にも影響を及ぼしていると聞いています。
樹木を伐採することは、その成長量を上回らない限り問題はなく、
むしろ人が森林に手を入れることで環境保護に貢献することになります。

森林からの恩恵に畏敬すると同時に、国内の木材をさらに有効に利用することが、
巡って森林資源を護っていくことであると考えました。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_飛騨

特に今までは用材として興味を持たれない、単に「雑木」と呼ばれている
小中径樹の広葉樹を活用したいと思いました。
それらは個性的な表情を持ち、実に多くの色と肌触りがあることを再認識しました。
あたかも森の豊かな多重奏が聞こえてくるようでした。

 

― 技術は繋げて、磨かれていく

 

2つ目は日本の木工家具職人の伝統技術を生かし繋ぎたいという思いです。
日本の家具量産体制は1970年代をピークに減少しつつあります。
家具職を担う人もかなり少なくなっていますが、今なお若い職人さんも生まれ
伝統技術はしたたかに引き継がれています。

世界に誇れる技術と感性があり、繊細で生活の知恵に満ちた優れた意匠力、デザイン力があります。
そして何よりも樹を熟知し、木を愛する心を持っています。
<MOCTAVE>は製材から加工、組み立て、仕上げまで飛騨高山の選ばれた少人数の工房で造ります。
脱大量生産、非画一的家具。1台1台、誠実にここでしか造れない家具、
2つとして同じ表情のない家具を造りたいと思っています。

<  ブランドストーリー 目次  >

 

家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

 

エピローグ|すべての価値は暮らしの中でⅠ

2015.08.17 Monday

 

エピローグ すべての価値は暮らしの中で
プロデューサー 大澤 勝彦

― 新しいライフスタイルを目指して ―

21世紀を迎えて、私たちは日本人らしい暮らし方、インテリアスタイルを
本当に手に入れているのだろうかと私はいつも問いかけてきました。
世界から「経済大国」の称号を与えられた日本の
<リビングスタンダード>はまだまだ低いといわなければなりません。

北欧の小国デンマークでは”すぐれた室内環境が豊かな心をつくる”と古くから言われています。
この国の人々は常に快適な住まいに眼を向け、インテリアをいつも意識しています。
家具デザイン、照明やアートにこだわりを持ったライフスタイルを持ち、
日々の美しい暮らしの中にこそ人生の喜びがあることを知っています。

もちろん日本にも古い時代「室礼」ということばがあり、スマートな住空間を創ってきました。
シンプルに空間を整え、そこに人が在ることで
はじめて暮らしの実態が生まれるようにインテリアを構成しました。

日常行為や作法が手順に叶うように見事に動線計画されていました。
飾りも過剰にならず自然に周囲の空間との折り合いがつくよう考えました。
家具は単なる道具ではなく「調度」として空間を構成する重要な役割が与えられ、その家の家格を表しました。
まさにインテリアがそこで暮らす人の精神や生活文化を映すというフィロソフィを持っていました。

ライフスタイルを創り出す世界観は建物の内側「インテリア」からの発想にあります。美しく豊かに棲まうことについては使い捨てやインスタントな志向に別れを告げ、
日本人らしい繊細で洒落たテイストのインテリア空間が求められる時代がすでにやって来ていることを確信しています。
このことが人生を共に暮らすコンセプトの家具<MOCTAVE>を創ろうと発想した出発点なのです。

<  ブランドストーリー 目次  >

 

家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

 

第3章|匠の手Ⅵ

2015.08.16 Sunday

 

第3章 匠の手Ⅵ  あま木工所  山内 宏俊

― 天性のモノづくり感性で、手際よく、正確に、美しく ―
あま木工所  山内 宏俊

そんな山内に「MOCTAVEのキャビネットとサイドボードを作らないか」と打診があった。
大変であることは一目見て分かった。

通常、扉や側板は一枚板もしくは数パーツの組み合わせでできているが、
この家具は扉一つとっても多くの樹種を含む数十種類のパーツで構成されている。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_職人_TVボード5それぞれの木目を読みながら、一枚の板からできるだけ多く木取りしなければならない。
しかし、それでも大変さを感じる以上に面白いと思った。試作の話をすぐに引き受けた。

取り組んでみて気づいたのが、多数のパーツを美しく組むのは時間との勝負だということだ。
接着剤の塗布に時間差があると、硬化し始めた接着剤が木に浸透せず、
美しく圧着できないので素早く組まなければならない。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_職人_TVボード3
工程を合理的に進めるために冶具(ジグ)が重要になるが、
山内も自分なりの工夫を凝らした冶具を作った。
そして、この冶具によってキャビネットやサイドボード前面のオスティナート・パターンが
手際よく組み上げられるようになったのである。

山内が目指すのは、有名な家具職人になることではない。
使う人が喜んでくれ、紹介してくれた建築家や大工さんも
喜んでくれる家具を作り続けられる職人になりたいと言う。

そして、そんな家具作りが日本でも定着していくと信じている。
その重要な一歩を、山内はMOCTAVEとともに歩みだしている。

<  ブランドストーリー 目次  >

 

家具 ・ インテリアショップ MOCTAVE | 東京・代官山

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