モクターブ 広葉樹図鑑
[右]
桑 クワ・ヤマグワ(クワ科)
Morus bombycis
養蚕用のクワは中国原産で多くの品種があり、畑に植えられているため
低い樹と思いがちですが、ヤマグワは10m以上になります。
葉は卵形や裂けた形など、一本の木でも様々な形が見られます。
夏には甘酸っぱいクワイチゴが実り食用としても有用な樹です。
材は黄味を帯び、強靭で保存性が高く経年変化で光沢のある褐色になります。
しかし、そのような材になるほどの太い樹はまれにしか見られず、きわめて希少な高級装飾材です。
[左]
山漆 ヤマウルシ(ウルシ科)
Rhus trichocarpa
秋に他の落葉樹に先駆けて鮮やかな紅葉を見せてくれますが、
樹液でかぶれることがあるため嫌われる木でもあります。
まれに大きく成長し木材として利用できる場合でも、
製材する人は注意しないとかぶれてしまうことがあります。
材の色は強い黄色味を帯びていますが時間とともに茶褐色に変化します。
タンニンが多く、脂気(やにけ)も多いので腐りにくい材で、工芸品などに使われます。
ちなみに漆器に使われる「漆」は樹液採取用に栽培されたものです。