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第1章|樹への想いⅢ

2015.08.05 Wednesday

 

第1章 樹への想い   プロジェクトオーナー河尻和憲

― 運命的な出会い ―

広葉樹については詳しくなった。
詳しくなればなるほど、もっと多くの人に知ってもらいたいという想いが募った。
しかし、製材して天然乾燥させている木材を、どうしたら活かすことができるのか・・・。

そんなときに出会ったのが、化粧品会社の什器や空間デザインも手掛けていた家具デザイナーの山本さんだ。
東京から岐阜に会いに来てくれた。

積み上げられた材を見つめて、立ち尽くし、ぽつりと言った。
「木が語りかけてくるようで圧倒された」

運命的な出会いだった。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_森Ⅲ

― モクターブ・プロジェクト ―

私と山本さんが手さぐりで始めた家具作り。
そこに大きな援軍が現れた。家具プロデューサーの大澤勝彦さん。

岐阜の広葉樹を使う。高山の家具職人の技術を最大限に発揮してもらう。
そんな想いを共有しつつ、家具プロデューサーが加わることで
本格的なビジネス・プロジェクトの立ち上げとなった。

木が奏でる音楽のような調和を暮らしの中で楽しんでもらいたいという想いを、MOCTAVEには込めている。

 

―  常識破りの家具作り  ―

デザインは家具にとって最も重要な要素である。
何度も試作を重ね、多くの人からレビューを受け、それを繰り返しながらデザインが練り直された。
そうしてようやく思い描いたデザインに到達することができた。
ただ、そのデザインは家具作りの常識とは、かなり異なったものである。

普通の家具は大径木の木材で、できる限り工程数を少なくして効率的に作る。
そうしなければ、採算が取れないからだ。

しかし、モクターブ・プロジェクトが行きついたデザインは
効率化とコストを優先する家具作りから見れば常識破りだ。
この家具は小径木の木材も多く使い、広葉樹が持つ驚くほど多彩な表情を取り入れる。
だから工程数は普通の家具の何倍にも達する。
それほどに手がこんでいるし、作り方も難しい。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_森_職人Ⅲ

― コンセプトと信念が共鳴した  ―

MOCTAVEの製造は高度な技術が要求され、高コストも予測される。
やはりこのプロジェクトのコンセプトに共感してくれる作り手でなければ・・・。
そうして多くの家具職人さんたちに試作を依頼した。

MOCTAVEに共感して担ってくれる家具職人さんたちは、一人が一つの家具を責任をもって手掛ける。
そうした作り方を信念にしている人たちに出会うことができた。
そして不思議なことに、みな高山の家具職人でありながら
全国各地から家具を作るために高山に移り住んできた人たちだ。
しかも誰もが木と樹のことが大好きで、その魅力も難しさも知り尽くしている。

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第1章|樹への想いⅡ

2015.08.04 Tuesday

 

第1章 樹への想い   プロジェクトオーナー河尻和憲

― この樹を何かに活かせたら ―

広葉樹が持つ表情の面白さに気がついたのは、10年程前のことだ。
杉や檜などの針葉樹とともに、非常に多くの種類の広葉樹も山から切り出され工場に運び込まれてくる。
ただただ、その多彩な表情に魅せられた。すべてチップにしてしまうには、あまりにも惜しかった。
そう思った木は製材し、天然乾燥のために寝かせておいた。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_森Ⅱ

とりあえずの目的はなかった。
あったのは「これを、いつか何かに使ってみたい」という漠然とした想いだけだった。
そして同時に、木材としてだけでなく、森に生えている樹のことを
もっと知りたいという想いに駆られるようになった。

樹のことについてセミナーがあると聞けば、どこへでも出かけた。
本も数え切れないほど読んだ。気がつけば森林インストラクターの資格も取っていた。
今も、年に何度かは、森の中で樹のことを子供たちに教える。

 

―  ドングリ拾い ―

毎年秋に、ある目的をもって山に入り続けている。

その目的とは、ドングリ拾い。
自分を魅了してやまない広葉樹を種から育てみたいと思ったのだ。
毎回数百個のドングリを拾い、三日間水に漬けておく。
その水も、ドングリが酸欠で死んでしまわないように流水である。

虫に食われたものは拾わないようにしていても、それでも虫食いが混じる。
虫に食われていない、沈んだドングリだけを湿らせたオガクズに埋めて冷蔵庫に保管する。
秋の間に冷蔵庫の中で根が出る。そして翌年の春に鉢に植える。

拾ったドングリの全部が発芽にまで至るわけではない。
自然の営みは厳しいものだと、気づく瞬間でもある。
そして二年を過ぎると、鉢から庭に移植する。
こうして育った苗木は、とても愛おしい。

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第1章|樹への想いⅠ

2015.08.03 Monday

 

第1章 樹への想い   プロジェクトオーナー河尻和憲

― 広葉樹に魅せられて ―

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_森たとえば朴(ホオ)の木は、割ってみると中は淡い灰緑色をしている。
けれども年が経つにつれ暗く濃い緑褐色になっていく。
あるときからそんな広葉樹の持つ奥深い世界に魅せられてしまった。

広葉樹には実にさまざまな表情がある。
まっすぐに伸びる樹種が多い針葉樹と違って、太く曲がっているものが多い。
幹も固い。立っている様も個性的だ。
同じ樹種でも生えている場所によって表情がまるで違う。
一本の樹の中でも南側か、北側か、根元に近いか先端部かで色合いや木目の表情が変わる。
そして時間の経過によっても変化するのだ。

私が、破天荒ともいえる挑戦的な家具プロジェクトを始めようと決意した出発点には
このような広葉樹の持つ多様性と美しさへの驚きがあった。

 

―  森が恋しい ―

岐阜で育った私にとって遊び場は雑木林だった。
カブトムシやクワガタをとったり、樹の上に秘密基地を作ったり。

当時はテレビゲームなどない時代。
でも雑木林にはアイデア次第で遊びのネタはいくらでもあった。
樹が、森が、すぐそこにあって、それが当たり前の環境の中で育った。

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具_森2だから東京の化粧品会社に勤めるようになっても、いつも田舎の風景が心のどこかに在った。
樹や森がそばにないことが、自分の中の何かが欠けているような気がしてならなかった。

サラリーマンを辞めて故郷に戻ってきたのは、紙の原料を作るチップ工場を継ぐためだった。
長年勤めた会社員としてのキャリアを捨てることには、周囲から驚かれ反対もされた。
けれども心の中の深いところでは、これで樹や森に囲まれて暮らせる、
心にしまっていた自分を取り戻せるという想いもあった。

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プロローグ:人生をともにできる家具

2015.08.02 Sunday

MOCTAVE_広葉樹_木_家具_

それは岐阜の広葉樹に魅せられた一人の想いから始まった。
その想いに家具デザイナーやプロデューサーが共感し、
高山の地で活動する家具職人たちの想いと共振した。

工場でのライン生産ではなく、個人工房において
職人が一人で一つの家具を木取りし、組み立て、仕上げる。

MOCTAVE_家具_木_職人

木材は岐阜で育った三十数種類にも上る広葉樹から選ぶ。
その多彩な表情を、一つの家具に組み込む。

樹種によって樹齢や生育が違い、比重も異なる。
当然、手間もかかり加工も難しい。

多くの家具工場は尻込みをした。
しかし、個人工房を営む家具職人たちがこの新しい家具作りに挑む。

 

”すぐに飽きられるような家具ではなく
いつまでも愛され使われ続ける家具を作りたい”

”日本では少なくなってしまった家具職人の伝統的な技術を生かしたい。
そして生かすことで引き継いでいきたい”

”日本の広葉樹が持つ可能性を材にして用いることで切り拓きたい”

”日本人が伝統的に培ってきた、室礼(しつらい)に代表される
美しく棲まう暮らしの価値観を二十一世紀の今日により豊かに甦らせたい”

そんな思いを共有した家具プロジェクトである。

 

「愛されない家具は作らない」

 

その家具の名はMOCTAVE。
日々の暮らしに木々の多彩な表情を映し
一オクターブ上の心地よさを奏でるようにと名づけられた。

MOCTAVEの紡ぐ「大きな物語」をお届けする。

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ブログをはじめました

2015.08.01 Saturday

MOCTAVE_広葉樹_木材_家具

 

MOCTAVEは昨年11月にオープンしたオリジナル家具ブランドです。

まだ1年にも満たないブランドではありますが
実はプロジェクトが始まったのはもう8年も前のことなのです。

広葉樹の美しさに魅せられたブランドオーナーに
そのコンセプトと信念に共鳴したデザイナーと職人が加わり
長い熟成期間を経てようやくオープンを迎えました。

ここでは日々の情報発信と共に
ブランドオーナー、デザイナー、職人の物語を
第1章、第2章、第3章に分けてご紹介したいと思います。

そして第4章では木材についてご紹介していきますので
そちらもお楽しみくださいね。

 

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